クラウドPBXを導入する際、既存番号の引き継ぎは可能?
企業にとって電話番号というのは、顧客や取引先との連絡のためにとても重要度の高いものです。既存番号を変えてしまうと、取引先に迷惑をかけたり、顧客からの注文電話を受けるチャンスを失ったりすることがあります。そこで、利便性や経済性を得られるクラウドPBXを導入するに当たって、既存番号を引き継げるのかというのは絶対に考えないといけない問題です。
結論、クラウドPBXを導入しても既存番号を引き継げる!
基本的には、クラウドPBXに切り替えたとしても既存番号をそのまま使い続けることができます。そのためには主に二つの方法が存在します。
一つ目はLNPと略されることもある番号ポータビリティ制度を利用するという方法です。これは、固定電話の番号を別のサービス提供会社に切り替える場合、簡単な手続きで引き継げる制度です。NTTなどの現在の電話を利用している会社に対して手続きをして、引継ぎ用の番号をもらいます。その番号を、新しくクラウドPBXを提供してくれる会社に伝えることで既存番号の引き継ぎをします。
もう一つの方法は、ゲートウェイというシステムを導入することです。これは、複数のネットワークを連結させたり混在させたりするための調整役を果たしてくれるシステムです。ゲートウェイがあると、既存の回線にIP電話回線などをつなげて相互利用ができます。そのため、既存番号をそのまま残して、クラウドPBXのサービスを活用できるのです。ただし、導入や毎月の利用に関して、追加の費用がかかりますので、コストダウンという意味ではメリットが下がってしまうことがあるので注意が必要です。
こうした引き継ぎのできる番号は、通常の市外局番から始める固定電話番号の他に、フリーダイヤルの番号も可能です。フリーダイヤルにはいくつかの種類がありますが、その中でも「0120」と「0800」から始まる番号のみです。ただし、クラウドPBXのサービス提供会社の方で、フリーダイヤルサービス自体に対応していなかったり、特定の番号のみ利用できるといった制限があったりすることもあります。そのため、会社の通常の電話番号だけでなく、フリーダイヤルも引き継ぎができるかをチェックしてから決めるべきです。ちなみに、同番号の引き継ぎには数か月の時間がかかるケースが多いので、しっかりと事前に計画を立てて混乱が生じないようにしておく必要があります。
クラウドPBXで既存番号を残せないことも
上記のような方法で、既存番号をクラウドPBXでも使えるのですが、あくまでも条件付きです。まず、番号ポータビリティ制度は、既存番号のサービス元によって利用できるケースとそうでないケースがあります。たとえば、今までIP電話を使っていたとか、ケーブルテレビ関連の電話サービスを使っていたというケースでは、持ち越しができないことが多いです。というのも、番号ポータビリティは、NTT東西日本の通常の固定電話か、ひかり電話で番号を取得している場合に限り使えるからです。もしくは、一番初めにNTT東西日本で電話番号を取って、その後LNPを使って他の会社でサービスを利用している場合です。どちらのケースでも、初めて番号を取ったのがNTTで、という条件が付きます。それ以外の場合、既存番号の引き継ぎは難しいと思った方が良いでしょう。市外局番で言うと、「050」から始まる番号については、IP電話によるサービスですので、今までの番号を引き継ぐことはできません。ただし、その番号を発行したサービス提供元で、新たにクラウドPBXを構築して移行するという事例においては、引き継ぎができることもあります。サービス会社と利用しているサービスの内容によって、使えるかどうかが分かれてきますので、事前に確認した方が良いでしょう。
また、番号ポータビリティに対応しているサービス会社でも、対応可能な市外局番に制限が設けられていることもあります。大都市の市外局番は引き継ぎができるものの、それ以外の市外局番は不可ということです。そのため、大都市にある本社の番号は引き継げるものの、地方の支社の番号は無理ということもありえます。どの市外局番でも対応できる会社を選ぶか、事前に現在利用しているすべての番号をリスト化して、チェックしてもらいましょう。
今までの番号の引き継ぎは条件があるので注意
クラウドPBXに切り替える時に、原則としては今までの電話番号を引き継げます。ただし、これにはいくつかの条件があります。特に、NTT以外の通信サービスを使っている、もしくは過去に使ったことがあるというケースでは慎重にチェックをすべきです。また、契約する会社によって、対応の範囲が違います。ミスが生じないように、担当者と綿密に打ち合わせをして確実に番号の設定を行うようにしましょう。