クラウドPBXに欠かせない技術QOSってなに?徹底解説
仕事用の電話やインターネットでは、コスト削減も大事な課題ですが、何よりも品質を保つことが一番重要です。もし、通話音声が途切れたり遅延が生じたりするなら、お客様や社員同士のコミュニケーションに問題が生じてしまいます。クラウドPBXは電話回線ではなく、インターネット回線を使っているので、こうした問題が起きないかと心配する方もいます。その点で、QOSという技術はより快適にクラウドPBXを利用するために役立ちますので、理解しておくと導入の助けとなること間違いなしです。
そもそもQOSってなに?
QOSとは「Quality of Service」の略で、サービスの質を指します。クラウドPBXだけでなく、あらゆるジャンルで使われる用語ではありますが、特にIT・通信業界では、インターネットや電話音声の品質を安定させ、快適にデータ送受信や会話ができる技術のことを意味します。具体的には、特定の通信内容やデバイスを優先させることによって、重要度の高い通信手段の品質を確保するという技術です。
オフィスのインターネット回線は、IP電話や社員用のパソコン、業務基幹システムなど、複数のデバイスやシステムが同時接続されているものです。そのすべてに同じような品質を求めると、すべてのデバイスの通信品質が下がることがあります。そこで、IP電話などの通信の遅延が遅れるとダイレクトに大きな影響が出るシステムの通信スピードを最優先で確保して、他のシステムやデバイスは後回しにします。こうして、重要なものについては確実にQOSを守れるわけです。
もう一つのQOS対策は、特定の通信のために使う帯域幅を最初に決めておくという手法です。こうした設定をしないでおくと、重要なIP電話などの通信用に使っていたトラフィックに、他のメール通信などが入り込んできて、IP電話の通信品質を下げてしまうことがあります。そこで、QOS対策では一度IP電話のために取り分けた帯域幅には他のシステムは入り込めないようにして、確実にいつでも通信スピードを確保することもあるのです。
クラウドPBXにおけるQOS
こうしたQOSの技術は、クラウドPBXでも大いに役立ちます。既存のPBXスタイルであれば、固定電話回線で音声通信をしますので、よほどコールが一斉に鳴らない限りは遅延や回線パンクが起こることはありません。しかし、クラウドPBXでは同じインターネット回線で、電話やクラウドFAX、通常の業務用メール送受信、業務システムの通信などを行います。一つの回線の中にたくさんのシステムやデバイスが混在するため、まれに音声通信のための帯域が狭くなって、音声の遅延などが生じることがあるのです。
そこで、QOSを活用して、クラウドPBXの品質を優先させます。メールの送受信は1秒程度遅れてもそれほど大きな問題とはなりませんが、電話で話している時に相手の声が1秒遅れて聞こえるとなると、会話をつなげるのがかなり難しくなります。こうした問題が起きないように、クラウドPBXの音声通信の品質を最優先させ、メールシステムは後回しにするなどして、快適な通話ができるようにするわけです。
こうしたQOS対策は、機器もしくはシステムの管理設定から簡単に行えることが多いです。クラウドPBXの管理設定画面に入り、ネットワークの優先順位を定めるメニューやスイッチなどの設定を開いて、優先したい通信内容を選択します。もしくは、ポート番号やシステム名を選ぶこともあります。この際、優先させるのはIP電話もしくは音声通話アダプターなどの設定です。後は、ユーティリティーシステムが自動的に機器やポートを識別してくれます。
また、中にはスイッチハブにこうした機能が付いていることもあります。やはり、ユーティリティーソフトを使ってパソコンから管理設定を行い、電話機などのデバイスを選択します。その際、細かく設定できるソフトだと、それぞれのデバイスのリンク速度を好きなスピードで設定することも可能です。具体的にどのくらいの速度が良いかは実際にやってみないと分からない部分もありますので、試しながら最適な設定を探しましょう。あまり専門知識がなくて複雑なことはしたくないのであれば、速度設定をオートにして、優先順位だけを決めることもできます。
機能をよく知り、快適に使おう
QOSとは、データ送受信や音声通信の品質の確保を実現する対策のことです。クラウドPBXはネット回線の使用により、まれに品質が落ちることがあるので、重要な対策です。音声通話の品質をキープするには、音声通話システムや電話機等のデバイスを優先させて、帯域を確保する設定をします。クラウドPBXシステムもしくはスイッチハブ機器のユーティリティーから簡単に設定できますので、管理者は一度この設定を試してみると良いでしょう。