日本における最新のクラウドPBXの市場規模を調査してみた
クラウドPBXは市場規模もシェアも拡大中!
日本も含めた世界のビジネスシーンでは、クラウドPBXの市場規模が年々拡大しています。「急速に拡大している」と言っても過言ではないでしょう。ただ国や地域によって市場規模の拡大状況には温度差が見られ、日本は比較的ゆっくりと広がっている状況にあるとも言えます。言い換えると海外に比べて普及が立ち遅れているとも言えそうです。
この点はITビジネスの先進国、アメリカの事情を見るとわかりやすいでしょう。2021年に発表された市場予測では、2022年の同国におけるクラウドPBXの市場規模は55億アメリカドルとなっていますが、これが2030年末には683億アメリカドルにまで達するとされています。つまり今後7〜8年くらいの間に市場規模が10倍以上に膨れ上がるというのです。
現時点でもアメリカではクラウドPBXが日本に比べてかなり普及しており、かなり大きな市場規模を形成しているわけですが、そこからさらに数年の間に10倍以上に膨れ上がると推測されているわけですから、いかにクラウドPBXとそれを活用したビジネスに将来性があるかがうかがえます。この点だけを見ても「クラウドPBXの導入が世界のビジネスシーン全体の潮流」と言っても過言ではないでしょう。
日本のクラウドPBXの市場規模は?
では日本国内のクラウドPBXの市場規模はどの程度なのでしょうか?従来型のPBXを含めた市場規模のデータで、250億円程度と言われています。アメリカの市場規模と比較すると非常に小さいことがうかがえます。数十分の1程度しかないわけですから、これが冒頭に上げた「普及が立ち遅れている」理由です。世界のビジネスシーンの潮流に乗り遅れている、という言い方をしてもいいかもしれません。
しかも、市場規模が拡大傾向にあると書きましたが、日本だけを見るとその拡大傾向もほんのごくわずかなレベルにとどまっており、市場規模に関してもここ数年は先述の数字から横ばい状態にあると言われています。これまではなかなか思うように普及が進んでこなかった事情が見て取れます。
この日本の市場規模とクラウドPBXの普及状況をもう少し詳しく見ていくと、導入率のデータとして「11.8%」という数字があります。ですから企業の9割近くはまだ導入していないわけです。具体的に言えば従来の構内変換器を使用したPBXがまだまだ主流を占めており、クラウドPBXはまだ「新しい選択肢」にとどまっていることになります。
なお、この導入率に関しては企業の規模とも密接な関わりが見られます。従業員の規模が多い企業ほどクラウドPBXを導入している割合が高くなっており、逆に少ない企業ほど低くなっているのです。この点は単に導入・維持コストの負担の問題だけでなく、従業員の数が多ければ多いほどクラウドPBXのメリットが大きくなることもあるのでしょう。
こうしたデータを見ると、今後の市場規模の急激な拡大はまだまだ期待できない印象もありますが、変化の兆しも見られています。例えばある調査では「クラウドPBXを導入済、または導入を検討中」の企業が30%を超えているなど、導入に積極的な企業が増えている様子がうかがえるのです。
日本における今後のクラウドPBXの市場規模の動向を予測
こうした状況の背景には、NTT東日本と西日本で2024年以降アナログ回線が使用できなくなる点もかかわっています。アナログ回線が使えなくなるのを機会にクラウドPBXに切り替える企業が増えることが予想されているのです。
また、クラウド型の認知が高まっていくことでそのメリットが知られるようになっているのも、今後の市場規模の拡大が予想される理由です。構内交換機を活用した従来型のPBXの場合、機器が劣化・老朽化した場合には新たに買い替える必要がありました。しかしインターネット回線を活用するクラウド型ならその必要がなくなるため、ランニングコストが少なく済みます。どうしても初期投資の負担から導入をためらう企業が多かったのですが、こうしたコスト面でのメリットも知られるようになることで今後普及が拡大していくと考えられているのです。社内でPBX環境を構築・維持する必要がないといった手間がかからないメリットも知られるようになっているようです。
日本のクラウドPBXの市場規模の拡大はまだまだこれから!
この日本国内のクラウドPBXの市場拡大は、事業の効率化やテレワークの推進をはじめとした従業員の勤務環境の改善とも密接に関わってきます。それだけに市場規模の拡大と普及は日本のビジネスシーン全体にも影響を及ぼす重要なポイントと言えるでしょう。アメリカほど現時点で普及していない状況ですが、それは言い方を変えれば「伸びしろがある」とも言えます。今後の状況次第ではアメリカ以上の急激な市場規模の拡大も期待できるでしょう。