クラウドPBXの普及率や市場動向を詳しく調べてみた
企業は業務システムの多くでデジタル化を推し進めています。効率化やコストダウン、コミュニケーション能力の向上といったメリットがあるからです。その一つの流れとして、クラウドPBXを導入する企業も増えています。インターネット回線を通じて、内線や代表電話対応を始めとする電話機能をデジタル化できるサービスです。実際のところ、どれほどの企業が導入を始めているのか。その普及率を確認し、是非自社における検討材料としてみてはいかがでしょうか。
クラウドPBXの普及率は徐々に伸びている
クラウドPBXは比較的新しいサービスであるため、普及率についての本格的な調査はあまりなされていません。アメリカに本拠を置くパラレルス社が行った調査は2013年のもので、法人事業者におけるクラウドPBX普及率はその当時3パーセントという結果が出てきます。しかし、2013年以降にクラウドPBXサービスは大きな進化を遂げていますので、この数字は現在とは異なるものと考えられます。
特に、最近はBtoBサービスとしてクラウド系のサービスが飛躍的に伸びています。チャットなどのコミュニケーションサービスを始めとして、ファイル管理や業務基幹システム、労務管理などでもクラウドを使ったサービスを多くの企業が導入しています。こうしたことから、クラウドPBXも伸びを見せていることが予測されています。2020年の調査では、少なくても何らかのクラウドサービスを使っている企業の割合は、7割近くに上ることが分かっています。もちろん、ここまでクラウドPBXの普及率が上昇しているということではありません。実態としては、既存の電話回線を使ったPBXシステムを使い続けている企業の方が圧倒的に多いのが実情です。それでも、様々なクラウドサービスを利用する企業が増え、PBXシステムでもクラウド化をすることに抵抗がなくなっているのは事実です。こうしたことから、徐々にクラウドPBXの普及率が上がっているのは確かなことと言えます。
これからさらにニーズが増していく
企業におけるICT推進は強い流れとなっています。その一つの動きとして、クラウドPBXのニーズもさらに大きくなることが予測されます。その理由としては、小規模なオフィスでも活用しやすいサービスが増えているという点を挙げられます。
今までは、先進的なサービスを利用するのは、大企業やIT企業、ベンチャー企業などが多く、中小企業は現状維持という傾向が強かったです。しかし、従業員が数名のみのオフィスでも、コスト面や機能面でメリットが出てくる小回りの利くクラウドサービスがどんどん登場しています。クラウドPBXでも同じで、ごく小さなオフィスでも利用しやすい低価格のプランをほとんどの会社で提供するようになっています。
また、中小企業でも積極的にデジタル化を推進する機運が高まっているのも追い風となっています。給料計算や受発注システムといった業務に直接関係するシステムだけでなく、社員同士のコミュニケーションやお客様からの問い合わせ対応といった面でも、インターネット回線を使ったサービスを利用するところが増えています。というのも、従来の電話回線を使った通信環境よりも、ネット回線を使った方がずっと低コストで運用できるからです。また、技術面での進歩もあり、既存のシステムを大きく変更しなくてもサービスの切り替えができるようになったというのも大きいです。契約状況によっては、クラウドPBXでも既存の電話番号を、番号ポータビリティ制度を利用してそのまま引き継ぎが可能となっています。企業にとって代表番号やお客様用の問い合わせ番号を変更するというのは、大きな機会損失につながる恐れがあるのでなかなかできません。しかし、番号を引き継げるのであれば、クラウドPBXのメリットを大きく活かせますので、積極的に導入する動機となります。
もう一つは機能面の向上があります。単にクラウドPBXを使うことでコストダウンが図れるだけでなく、中小企業の業務環境を改善できるのです。たとえば、クラウド電話にすることによって、スマホでも代表番号を受けられたり、内線電話をかけたりできるようになります。社員がオフィスにいなくてもコミュニケーションができるというわけです。社員の少ない中小企業では、オフィスに誰かを常駐させる必要もなくなりますので、効率的な使い方ができるのです。
オフィスのデジタル化を進めよう
クラウドPBXの普及率は、他のクラウド系サービスに比べるとまだ低い状況です。それでも、大企業だけでなく中小企業でもデジタル化が急速に進んでいますので、これからさらに普及率の向上が見られるはずです。自社における導入のメリットをよく考えて、積極的に導入を検討しましょう。