クラウドPBXとIPセントレックスの違いをわかりやすく解説
IPセントレックスとは?
IPセントレックスは、2003年にNTTコミュニケーションが始めたサービスで、IP電話システムの一つです。IP電話は一般住居向けにも浸透していますが、IPセントレックスはビジネス向けのサービスとなっていて、従来のPBXとほぼ同じ機能を持っているのが特徴です。つまり、代表番号で複数の回線をまとめることができたり、オフィス内で内線番号を設けて内線通話が可能となったりするものです。
従来のPBXでは、建物内に専用のPBX装置を置く必要があり、工事やメンテナンスが必要でしたし、設定を変更する際には専門業者によって装置を調整することが求められていました。IPセントレックスでは、インターネットシステムを使うことによって物理的なPBX装置をオフィス内に置く必要がなくなりました。通信事業者とインターネット回線で結ぶことによって、いわばPBX機能をアウトソーシングしているわけです。通信事業者は専用のサーバーを設けていて、そこでIP電話の管理をします。もちろん、保守や運用、なんらかの変更調整は代行業者である通信事業者が行うことになります。
それぞれのオフィスではビジネスフォンを使って、従来のPBXと変わらない形での外線と内線通話ができます。ただし、IP電話網を使うためインターネット回線に接続できる環境でないといけませんので、機種によってはIP電話対応のビジネスフォンに替える必要があります。もしくは、従来のPBX電話機を使いたいのであれば、VoIPゲートウェイを設置することになります。小型の装置ですし、たくさんあるビジネスフォンを買い替える必要がないため、多くの企業がこの方法を選択しています。
こうしたシステムを設けることによって、企業は自前でPBX装置を置かなくて済みますので、工事の手間や設置スペースがいらなくなります。また、管理や保守、調整に関する技術的な問題から解放されるというのも大きなメリットです。さらに、IPセントレックスはIP電話システムを使いますので、アナログ回線で通話をする従来のPBXに比べると通話料が安くなるというコスト面でのメリットも生まれました。
IPセントレックスとクラウドPBXの違いについて
IPセントレックスと似ているサービスに、クラウドPBXがあります。インターネット回線を使って、従来のPBXと同じ機能を提供するという面では同じですが、クラウドシステムを使うかどうかという点に違いがあります。つまり、IPセントレックスの場合は、通信事業者のサーバーと直接回線でつながっているオフィスでしかサービスを利用することはできません。しかし、クラウドPBXの場合は、インターネットに接続している端末であれば、クラウドサーバーにつながることができ、実質的にどの端末でもサービスを利用できます。そのため、オフィスにいない社員が持っているスマホや、自宅で在宅ワークをしているパソコンでも同じ環境で通話などができるのです。さらに、物理的な回線で結ばれていない支社などの他の拠点でも、クラウドPBXであれば同じサービスを利用できます。
このように、クラウドPBXはIPセントレックスをさらに進化させたものと言えるでしょう。実際、初めにIPセントレックスが誕生し、そこからクラウド技術が開発されたことで、より使いやすいクラウドPBXが誕生しています。IPセントレックスと比較した時のクラウドPBXのメリットとしては、スマホでも内線通話ができるという点があります。外にいてもオフィスとの通話が無料となりますし、他拠点や在宅ワーカーとのコミュニケーションもコストがかかりません。さらに、クラウドシステムでは管理や設定などを自分たちで行えるというのもメリットです。管理画面から簡単に番号の追加や音声ガイダンスの設定などができて、設定をするとすぐに結果が反映されます。よりスピーディーでシンプルな使い方ができるわけです。
また、導入スピードも速いという特徴があります。クラウドPBXの場合、通信事業者による回線敷設の工事がいりませんので、数日もあればサービスを利用し始められます。電話機の台数やアカウントを増やしたいというケースでもすぐに追加できるため、スピードの速い現代のビジネスに向いているサービス形態と言えるでしょう。
利便性の高いクラウドPBX
IPセントレックスとクラウドPBXは、どちらもインターネット回線を使用しているという共通点がありますが、クラウドシステムを使っているかどうかという大きな違いがあります。料金や使い勝手、スピードなどの面ではクラウドPBXの方が優れています。そのため、これから新たにPBXを導入したいと思っているのであれば、クラウドPBXが適していると言えるでしょう。