クラウドPBXではボイスワープなど転送機能は使えるの？
通常、社内にかかってきた電話を携帯電話に転送するには、NTTの提供する「ボイスワープ」というサービスを利用します。多くの企業で導入が進むクラウドPBXですが、このような転送機能が使えるかどうかが気になる方も少なくないでしょう。そこで、本記事ではクラウドPBXを導入した場合の電話の転送について見ていきましょう。
クラウドPBXがあれば、ボイスワープは不要
社内の固定電話にかかってきた着信を、同じ社内にある別の固定電話に転送することを内線転送と言います。それに対して、社外の固定電話や携帯電話に転送するのが外線転送です。
外線転送を通常の電話回線を通じて行うには、冒頭にも触れたNTTの「ボイスワープ」などのサービスを利用することになります。便利なサービスですが、有料のサービスですのでコストがかかるのがネックではないでしょうか。クラウドPBXを導入すれば、外線転送が可能なばかりかコストの問題も解決するのです。
クラウドPBXとは、従来のビジネスフォンと似た仕組みですが、PBX（電話交換機）のあり方が大きく違います。物理的な装置を社内に設置するのではなく、その名の通りクラウド上に設置するのです。要は、インターネット上に仮想の交換機を設置することで、その回線を通じて固定電話、パソコン、携帯電話などを管理できるようになります。
このクラウドPBXには、転送や保留、ダイヤルインといったビジネスフォンの基本機能が最初から搭載されています。インターネット回線を利用するため、社外にいる社員の携帯電話からも利用可能です。リモートワークやテレワークが普及した現在のビジネス環境に最適な存在と言えるでしょう。
インターネットを利用するクラウドPBXなら着信転送に制限なし
従来のビジネスフォンでも、社内の内線転送であれば無料で利用できました。しかし、その利便性はあまり認識されていなかったのではないでしょうか。というのも、内線転送の機会というと、社内のデスクにかかってきた電話を、社内の別の電話機に転送する場合ぐらいだからです。当たり前の機能なので、いちいち内線転送サービスを利用していると意識することもないのではないでしょうか。また、携帯電話に転送することはできません。社内の固定電話同士で転送するという限定的な利用シーンしかないのが大きなネックです。
一方、クラウドPBXを導入することで、拠点の制限から解放されます。インターネット環境があるところならどこでも運用できるため、社内の固定電話同士といった制限もなくなります。相手の電話が携帯電話やスマホであろうと、社内にいない場合であろうと、相手のデバイスがクラウドPBXに登録されていれば、従来の内線転送と同じ感覚で着信を転送できるのです。
これまでのビジネスフォンの場合、内線接続しているのは自分の固定電話のみです。たとえ自分の携帯電話やスマホであっても、転送するにはボイスワープなどの転送サービスを利用するしかありません。それはそれで便利なサービスですが、ボイスワープには月額使用料がかかりますし、通話した分、通話料もかかります。
ボイスワープが具体的にいくらかかるかは、契約している回線の種類によって変わります。通常の電話回線とISDNの場合、事務用として使用するには月額880円が必要です。一方、ひかり電話の場合、月額使用料は事務用でも550円と安いですが、初期費用として2,200円の工事費がかかります。加えて、転送機能があるとはいえ、ボイスワープの場合、設定できる転送先の電話番号は1つのみです。デスクで電話を受けることができなかった時に、複数の社員の携帯電話に一斉転送するということはできません。転送したい先に応じてその都度番号を設定しなければならないのです。
クラウドPBXには上記のような制限は一切ありません。ビジネスフォンで転送にコストがかかったり転送先の制限があったりするのは、従来の電話回線を利用したサービスだからです。クラウドPBXの場合、インターネット回線を利用するためそもそも通話料がかかりませんし、最初から転送機能が搭載されているため、別途費用が発生するサービスを契約する必要もないのです。
加えて、クラウドPBXに登録している全デバイスに一斉に転送することもできます。先の例のように、「デスクの電話を取れない時は、自動的に社員のスマホに一斉転送する」といった設定も可能になるのです。
まとめ
クラウドPBXがあれば、ボイスワープなどの有料転送サービスが不要になります。インターネット上に電話交換機を設置する仕組みですので、社外のどこにいようとインターネット環境さえあれば携帯電話やスマホでも転送できるのです。通話料や転送料などはかかりません。また、クラウドPBXは、物理的な装置を設置するための回線工事が不要になります。したがって、回線工事のための費用もかからないということです。固定電話さえ必要ありません。したがって、クラウドPBXを導入すると、電話転送の利便性が高まるとともにコスト削減にも大きな効果が期待できるでしょう。
