クラウドPBXを導入することで想定されるリスク
クラウドPBXはコストや業務効率化などの様々なメリットがあります。一方で特有のリスクが存在するのも事実です。導入するに当たっては事前に注意点を覚えておくとともに、利用の際にも対策を行う必要があります。具体的にどんなリスクがあるのかを確認しておきましょう。
クラウドPBXの利用に伴って生じるリスクについて
クラウドPBXシステムはインターネット経由でアクセスする仕組みです。そのためネット特有のセキュリティ上のリスクが存在します。例えば不正アクセスやデータ破損が発生する可能性。またクラウドPBXプロバイダー自体が攻撃を受けることもあります。その場合、顧客のデータが漏洩するリスクが生じます。また、音声通話における品質の低下や、最悪の場合は利用ができなくなるといったリスクが生じることもあります。なぜならクラウドPBXはインターネット接続の速度や障害に依存するからです。起こる可能性は非常に低いですが、クラウドPBXプロバイダー自体がダウンした場合、サービスにアクセスできなくなります。完全にダウンしなくても、通話音声のタイムラグや途切れなどが起こることもありえます。
クラウドPBXシステムは電子的に管理されるため、操作ミスやシステム障害によりデータが失われてしまう可能性もあります。例えば自社担当者がクラウド上に保存してある電話帳を間違えて消してしまったり、設定を誤ってある機能が使えなくなったりすることがありえるわけです。簡単に管理できる分、ヒューマンエラーが起こりやすくなるとも言えます。またクラウドサービスに障害が発生した場合やシステムダウンが起きた時に、顧客のデータが失われる可能性もあります。クラウドPBXが行うサポートが不十分である場合、問題解決に時間がかかるケースも見られます。低料金をウリにしているサービスなどで顧客への個別サポートが存在しない場合、何らかのトラブルが発生した時には自分たちですべて解決しなければなりません。
その他にも、法的リスクについても考えるべきでしょう。というのもクラウドPBXでは、顧客のデータをクラウドなどに保存して管理することになります。そのため、プライバシー保護やデータの取り扱いに関する法的ルールをしっかりと守らなければなりません。またクラウドPBXシステムが電話通話を録音し保存する場合、通話録音に関する法的な規制やルールも考えるべきでしょう。
運用コストというリスクも検討すべきポイントです。当然ですが、クラウドPBXシステムの導入には初期費用や月額使用料がかかります。利用に関係した設定や管理には技術的な知識も必要です。そのため企業側で知識を持つ人員を配置する必要や、外部の専門家に委託する必要が出てくるかもしれません。このようなコストが予算を超える場合、クラウドPBXの導入はリスクとなる可能性があります。
クラウドPBXシステムを導入して既存のシステムと統合したり、新たに入れるサービスと連携したりすることも多いです。しかし、既存のシステムが異なるプロトコルやインターフェースを使用している場合、システム統合が難しくなります。これによりシステムの稼働率や品質に影響を与える恐れが出てきます。
クラウドPBXシステムでは、定期的にシステムのアップグレードを行うことがあります。このアップグレード中にシステムがダウンもしくは一時停止する可能性が生じます。またアップグレードにより、システムに以前のバージョンとの互換性がなくなる場合もあります。これにより既存のデータが失われたり、システムの稼働率や品質に影響を与えたりする恐れもあるので、慎重に影響をチェックすべきです。
クラウドPBXシステムを使用する中で機能を追加したり規模を拡大したりする際に、システムの拡張が必要になることがあります。しかしシステムの拡張には追加のコストや技術的なノウハウが求められます。またシステムの拡張により連携しているシステムのデータが失われたり、機能の一部がうまく連携できなくなったりする障害が発生するリスクも生じます。
リスクを想定し対策を事前に考慮しておこう
このようにクラウドPBXはとても便利な機能を持つサービスですが、リスクも持っていることを覚えておきましょう。もちろんどのリスクも致命的なものではなく、生じる可能性が低い事例ばかりなので過度に心配する必要はありません。またサービス側でもよくリスクを理解して、十分な対策を講じています。自社でクラウドPBXを導入し、利用する際にも様々なリスクがあることを承知し、防止策をしっかりと取るようにしましょう。多くの場合、サービス側との入念な打ち合わせや利用する社員の教育、システムのチェックなどによって防止できるものです。安心して利用するためにも上手に対応していきましょう。